ポートフォリオを構築する際、債券投資は一般的に安定的な収益を追求するための一つの手段とされてきましたが、最近では「債券投資は意味ないのではないか?」という議論が起こっています。
本記事では、債券投資の意義や投資信託の債券がポートフォリオに必要なのかについて考察します。
現在の投資環境において、債券投資にはどのようなメリットやリスクがあるのか、また、債券がポートフォリオのバランスを保つ上でどのような役割を果たすのかを探求していきます。
債券投資の是非やポートフォリオの構築における債券の有用性について深く考えてみましょう。
債券投資は意味ないと言われる理由・デメリットは?
債券投資は安全性が高いとされるものの、その投資に対する理解度が低いと無意味だと捉えることがある。
また相対的に低いリターンや流動性の問題、利率変動リスクといった点がデメリットとして挙げられることが多い。
さらには、金利が上昇すると元本の減少をもたらす可能性があり、これらの要因が組み合わさって、投資に慎重な意見が形成されている。
- 株式よりリスクは低いが一定のリスク資産には変わりない!
- 利回りや損益の特性が分かりにくい!
- 外国債券は為替リスクにも注意が必要!
以下、それぞれのデメリットについて、一つずつ詳しく見ていきます!
債券投資のデメリット①:株式よりリスクは低いが一定のリスク資産には変わりない!
確かに債券投資は株式投資と比較するとリスクは低く、定期的な利息収入が期待できる。
しかし、この点が誤解を招く原因となり得る。例えば、金利の変動は債券の市場価格に直接影響し、金利が上昇すれば債券の価値は下がり損失が生じる。
この金利リスクは、株式市場の変動に比べてしばしば無視されがちである。
発行企業の信用リスクや償還日の延長リスクのような、他にも債券特有のリスクが存在する。
長期にわたって金利が変わらないような安定した市場環境であれば良いが、経済が変動する中ではリスクを避けられるとは限らない。
債券投資のデメリット②:利回りや損益の特性が分かりにくい!
債券投資の複雑さは、利回りの理解にも現れている。表面利率(クーポンレート)が債券の収益の全てであると認識することがあるが、実際には市場金利と債券の価格の動きが収益に直接関係してくる。
場合によってはマーケットリスク、つまり金利が下がれば債券の価格は上がり、逆に金利が上がれば価格が下がる。
このように表面利率と市場価格の変動による損益が連動し、投資家が利回りを正確に把握するのは難しい。
そのうえ、税金やインフレの影響も無視できない。
すなわち、実質収益率は名目上の数字より複雑で、しばしば予想外の結果を招く。
債券投資のデメリット③:外国債券は為替リスクにも注意が必要!
外国債券に投資する場合、利金の支払いや債券の売買は外貨ベースで行われるため、為替の変動が直接的に収益性に影響を及ぼす。
したがって、為替レートが不利に動くことで、元本や収益が減少するリスクが存在する。
この為替リスクは、その債券の金利や経済状態だけでなく、政治的な安定性や政策変動によっても引き起こされる。
加えて、ヘッジ取引を利用してリスクを軽減することもできるが、ヘッジコストが結果的にリターンを圧迫することもあるため、全体の投資戦略の中で慎重に考慮する必要がある。
ポートフォリオに債券は必要か?債券投資のメリットは?
投資を行う上でリスクとリターンのバランスは重要です。
その点で、ポートフォリオに債券を加えることには大きなメリットがあります。
債券は株式等の他の金融商品に比べて安定したリターンを見込め、リスク分散の観点からも積極的に検討されるべき投資先です。
以下で、債券投資のメリットを深掘りしていきましょう。
- 銀行の預金金利よりも金利・利回りが高い!
- 株式と違い元本と利回りを足したリターン(収益額)が事前に分かる!
- 株式と逆相関の値動き・価格変動になることがあるのでポートフォリオの分散になる!
以下、各メリットについて、一つずつ詳しく解説していきます!
債券投資のメリット①:銀行の預金金利よりも金利・利回りが高い!
金融機関における普通預金の金利が低迷する中、債券投資は魅力を増しています。
多くの債券では、銀行の預金金利を上回る利回りが期待できるため、資産の効率的な運用を望む投資家にとって有利です。
例えば、国債や社債、地方自治体債など、種類によって利回りは異なりますが、これらは銀行預金に比べて高い年率での収益を見込むことができるため、インフレ時にも資産価値を守る一助となります。
債券投資のメリット②:株式と違い元本と利回りを足したリターン(収益額)が事前に分かる!
債券は発行時に利率が決定されており、満期まで保有すれば、元本と利息を加えた合計額が事前に予測できる点が大きなメリットです。
これに対して、株式投資では価格の変動に伴い収益が不確定な要素を多く含んでいます。
つまり、債券投資はリスクを最小限に抑えつつ、安定した収入を見込むことが可能です。
また、償還日やクーポン支払日が明確なため、キャッシュフローの計画が立てやすく、長期的な資産運用に適しています。
債券投資のメリット③:株式と逆相関の値動き・価格変動になることがあるのでポートフォリオの分散になる!
債券は経済の景気変動や市場のリスク意識に応じて、株式とは異なる値動きをすることがあります。
株式が下落する場合、債券は逆に価格が上昇することが多く、これは投資家のリスク回避行動によるものです。
ポートフォリオに債券を組み込むことは、全体のリスク低減に寄与し、市場環境の変化にも強い構成を築くことにつながります。
負の相関関係を持つ資産を組み合わせることで、資産全体のバランスが改善され、安定した資産成長を目指すことができるのです。
債券クラスの投資信託はポートフォリオに必要か?
投資家の間でよく議論の対象となる債券クラスの投資信託。
安定した収益を目指す投資方針を持つ人や、リスク分散を図りたい人には重要な選択肢の一つです。
しかし、債券投資は株式に比べてリターンが低いともいわれがちで、実際のところ投資信託としての必要性はどの程度なのでしょうか?
- 国内債券の投資信託なら株式との相関が低いため分散効果が期待できる!
- 外国債券の投資信託は為替の変動リスクも取るため「意味ない」と言われることが多い!
- 国内債券も外国債券も投資信託なら低コストのインデックスファンドがおすすめ!
ここから、それぞれのポイントについて、一つずつ詳しく見ていきます!
国内債券の投資信託なら株式との相関が低いため分散効果が期待できる!
国内債券の投資信託は、株式市場の波動に左右されない安定性が特徴です。
株式と債券の相関関係は低いため、市場の変動時においてもポートフォリオ全体のリスクを軽減する効果が期待されます。
特に金利が安定している日本においては、国内債券は将来的な収益を見込みつつも市場の不確実性を避けたい投資家にとって魅力的な投資先となり得ます。
投資信託を通じて多様な国内債券に分散投資することで、リスクを抑えつつ安定したリターンを目指すことができるのです。
外国債券の投資信託は為替の変動リスクも取るため「意味ない」と言われることが多い!
外国債券の投資信託を評価する際には避けて通れないのが為替リスクです。
債券の利回りだけでなく、通貨の価値変動がリターンに大きな影響を与えることがあります。
このため、外国債券を保有することは、ある意味で通貨投資を行うことといえ、為替の変動がリターンに大きく反映される可能性があります。
その結果、「外国債券投資はリスクが高過ぎる」と否定的な評価を受けることもしばしばです。
しかし、通貨のリスクを適切に管理し、国際分散投資の一環として位置付けることで、外国債券の投資信託は有効な手段となり得るでしょう。
国内債券も外国債券も投資信託なら低コストのインデックスファンドがおすすめ!
投資信託を選ぶ際、手数料の小ささは重要な要素となります。
特にインデックスファンドは指数に連動するように運用されるため、積極的な運用が不要であり、その分コストを抑えることができます。
国内外を問わず、債券インデックスファンドは投資信託の選択肢として低コストで分散投資の利点を享受することが可能です。
運用コストの低減は長期的なリターンに直結するため、コストパフォーマンスを重視する投資家にとってインデックス型投資信託は欠かせない選択肢となるでしょう。
債券投資は意味ない?債券投資・ポートフォリオ
債券投資はリスクが低めで、堅実な運用を目指す人に適しています。
株式などの変動が激しい投資と比べると、収益は控えめですが、ポートフォリオのバランスを取るためには重要です。
投資全体を通じて、債券投資は「意味ない」と決めつけるのではなく、投資戦略の中で適切に位置付けることが重要です。
- そもそも債券とはどんな金融商品か?
- 債券の種類にはどんなものがあるか?
- 意外と難しい債券の価格の仕組み/金利が上がると債券価格が下がる
- 債券投資の方法は?直接債券を買えるが初心者の方は投資信託が無難!
以下、それぞれのポイントについて、一つずつ詳しく説明していきます!
そもそも債券とはどんな金融商品か?
債券とは、発行者が投資家から資金を借り入れる際に発行する有価証券で、定期的な利息の支払いと、期限到来時の元本の返済を約束するものです。
その信用度は発行者の財政状態によって異なり、国や地方自治体、企業など多様な主体が発行しています。
債券には満期まで保有することで発行時に約束された利回りが得られるため、収益の見込みが比較的明確な投資商品といえるでしょう。
債券の種類にはどんなものがあるか?
債券には多くの種類があります。
国や自治体が発行する国債や地方債は信用リスクが低い一方、利回りも低めです。
企業が発行する社債はリスクが高い分、利回りも通常は高く設定されています。
また、インフレに連動して利息が上昇するインフレ連動債や、利息が固定ではなく変動する変動金利債など、投資家のニーズに合わせた商品が存在します。
さらには、複数の債券を組み合わせた証券化商品などもあり、多様な選択肢から投資目的に合わせて選ぶことが重要です。
意外と難しい債券の価格の仕組み/金利が上がると債券価格が下がる
債券の価格は市場金利に反応して変動します。
特に、市場金利が上昇すると新規に発行される債券の利回りも上がるため、すでに発行されている低利回りの債券は価値が下がるのが通例です。
このため、長期保有を前提にした債券投資では、金利変動のリスクに注意する必要があります。
実際の債券価格は複数の要因によって決まるため、一概に金利が上昇すると価格が下落すると断定することはできませんが、基本的な理解は投資判断において有効です。
債券投資の方法は?直接債券を買えるが初心者の方は投資信託が無難!
債券投資を始める方法には直接、個別の債券を購入する方法がありますが、市場の状況を理解し、適切なタイミングで取引を行う必要があります。
初心者の場合、専門知識がなくてもアクセスしやすい投資信託を選択することが無難といえます。
投資信託はプロのファンドマネージャーが複数の債券に分散投資し、運用を代行してくれるため、投資家は信託財産を購入するだけで簡単に債券投資を始めることができます。
債券投資は意味ない?【まとめ】ポートフォリオに必要か?
今回の記事では、「債券投資は意味ないのか?」というテーマについて考察しました。
債券不要論に対して、なぜ私たちは債券をポートフォリオに取り入れるべきなのか、その理由を解説しました。
まず、債券投資の意義について考えると、安定的な収益とリスクの分散効果が挙げられます。
債券は定期的な利息収入が得られるため、株式などのリスク資産と組み合わせることで、より安定したポートフォリオを構築することができます。
また、債券のリターンは株式とは異なる相関性を持っており、市場の変動に対して一定の保護を提供することができます。
さらに、債券投資はリスク管理の観点からも重要です。株式市場の変動や経済の不確実性に対して、債券は一定の安定感をもたらしてくれます。
リーマンショックや新型コロナウイルスのような市場の混乱時においても、債券は投資家のポートフォリオを守る役割を果たしてきました。
また、債券投資は年金資産や長期の資金運用において重要な役割を果たしています。
将来の資金を確保するためには、低リスクな債券投資が必要不可欠です。
債券は安定的なキャッシュフローを提供し、リスクを最小限に抑えることができます。
一方で、債券投資にはデメリットも存在します。低金利環境下では、債券から得られる収益が限定的であることが挙げられます。
また、インフレーションの上昇や信用リスクの増大などの要因により、債券の価値が低下する可能性もあります。
しかし、これらのデメリットに対しても、適切なアセットアロケーションやリスク管理を行うことで対処することができます。
債券投資はポートフォリオの安定性やリスク管理の面で重要な役割を果たします。