制度信用取引と一般信用取引の違いは?逆日歩なども解説

信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の二種類があります。それぞれの取引の特徴を理解し、信用取引を利用することは、投資パフォーマンスの向上や株主優待のつなぎ売りなどを行なうのに重要です。

そこで、本記事では、信用取引について振り返りつつ、「一般信用取引と制度信用取引の違い」また「逆日歩」について解説していきます。

目次

信用取引とは?特徴・メリット

信用取引とは、投資資金や株式などを担保として、証券会社からお金を借りて取引を行なうです。通常の株式現物取引の場合、投資資金以上の取引を行なうことはできませんが、信用取引では資金以上に、株式売買を行なうことができます。

その信用取引は、主に以下のようなメリットがあります。信用取引を行なうことで、株式の「買い」だけでなく「売り」からも投資をはじめることができます。

[box05 title=”信用取引のメリット”]

  • 投資資金以上の株式売買が可能
  • 株式を売ることで、株価下落時も利益を上げることが可能(信用売り)
  • 現物買いと信用売りを合わせることで株主優待を価格下落リスクを抑えてもらえる
    ⇒ クロス取引・つなぎ売り

[/box05]

以下、それぞれについて詳しく説明いたします。

投資資金以上の株式売買が可能

信用取引のメリットの1つが、投資資金以上の株式取引ができる点です。例えば、大手ネット証券会社のSBI証券や楽天証券では、30万円の資金で100万円分の株式の取引が可能です。

通常の現物取引(通常の株式取引)は30万円持っている場合、30万円分までしか取引できませんが、信用取引を利用すれば、100万円分の取引が行なえます。そのため、うまく取引できれば、通常の3倍以上の利益を出すことができます。

ただし、株価の下落時も、同様に3倍以上の不利益が生じますので、リスク管理が必要です。

信用売り(空売り)

信用取引の特徴の1つに、株式を売ることから取引をスタートする「信用売り(空売り)」と呼ばれるものがあります。通常の現物取引では、株価を買うところから取引がスタートしますが、信用取引を使えば、株式を売る所から取引をスタートできます。

通常の現物取引の場合、株を安いときに買って、株価が高いときに売ることで利益を得ることができますが、信用売り(空売り)の場合、株を売るところから取引ができるため、高いときに株を売り、株価が下落し安くなったところで、株を買い戻すことがで利益が得られます。

つまり、信用売りを利用することで、株価の上昇時だけでなく、下落時にも利益を上げるチャンスがでてきます(下図のイメージ図参照)。

信用売りのイメージ図

信用売りのイメージ図

信用売りのイメージ図



上のイメージ図は、株価が100円の株式を1,000株信用売りし、株価90円で買い戻したときの例です。以下のような手順で信用取引を行った例です。

  1. A地点で株価100円の株を1000株を、証券会社借りて、売る。
  2. B地点で株価90円の株を1000株買い戻す。(10万円の価値のものを9万円で買い戻したことになる。)
  3. 借りていた1000株を証券会社に返す。
    →10万円 – 9万円 = 1万円の利益が出る。

A地点(株価100円)で1,000株を証券会社から借り、信用売りを行ないます。その後、株価が90円まで下落したところで1,000株を買い戻します。買い戻しにかかる費用は、90円×1000株=9万円です。

ここで、証券会社に1,000株借りていましたので、9万円で買い戻した1000株を証券会社に返します。もともと10万円の価値の株を9万円で買い戻したことになりますので、差額の1万円が利益になります。これが信用売りを用いて利益を出す流れです。

このように信用売りを用いることによって、我々投資家は、株価の下落時にも利益を得ることができます。ただし、信用売りを行った場合、株価上昇時には損をしますので、リスク管理が重要になります。

価格変動リスクを抑えて株主優待がもらえる

ここまで解説しきた「信用売り」と通常の「現物買い」を組み合わせることで、株価下落リスクを抑えて、株主優待をもらうことができます。一般的に「つなぎ売り」や「クロス取引」と呼ばれています。

通常、株主優待をもらいたい場合、株式を優待獲得の権利日まで保有することが必要です。しかし、一般的に、権利落ち日以降は、優待株の株価下落リスクがあります。

参考 株主優待とは?知っておくべきこと、おすすめ銘柄など解説

つなぎ売り(クロス取引)とは、この株価下落リスクを信用売りによって軽減する取引手法で、現物で優待株を保有しつつ、信用売りで下落分をヘッジします。

ただし、この方法を用いて株主優待を得ようとする場合、逆日歩(ぎゃくひぶ)によって、余分な手数料が出る可能性もあるので、一般信用取引ができる銘柄での取引が無難です。

信用取引のルール・注意点のおさらい

最後に信用取引きのルール・注意点をまとめます。信用取引ならでは、注意点・ルールとして以下の2つがあります。

信用取引のルール・注意点

  • 清算の義務
  • 追い証(読み方:おいしょう)

以下、それぞれの注意点について見ていきます。

清算の義務

信用取引は、預け入れ金や株式を担保してお金を借りて取引を行なうため、借りたものを返す義務があります。制度信用取引であれば、6ヶ月以内に返すことが原則です。

また、無期限信用取引(一般信用取引)という返済期限なしの信用取引もありますが、制度・一般信用取引は、いずれもお金を借りているため、2~3%の金利が発生しています。

金利は信用取引のデメリットで、信用取引を利用するのであれば、このデメリット以上の投資成果を出すことが不可欠です。

追い証が発生する可能性がある

追証」とは、追加で保証金・担保が必要になることです。

信用取引で買っていた株や保証担保としていた株式が急激に下落した場合、株価の急激な下落によって、多大な損失を抱え、担保が目減りしてしまった場合、担保が足らなくなる場合があります。追加で保証金を入金する必要があります。これが追証です。

また、追証応じることができない場合、証券会社が強制的に注文を出して決済してしまう場合もあるので、注リスク管理が重要となってきます。

ここまで解説してきたように、信用取引は、少ない投資資金で大きな利益を狙うことができる取引です。また、売り注文から取引が開始できるため下落時も投資益を上げることができます。

しかしながら、下落時の損失が多くなったり、追証に見舞われる場合もあるので、リスク管理を徹底して、信用取引を行なう必要があります。また、以下、解説するように証券会社によって、手数料が違うため手数料の安い証券会社を利用することが重要です。

制度信用取引と一般信用取引の違い

信用取引には、銘柄や取引期限等を取引所が決める「制度信用取引」と、信用取引の銘柄や取引期限等を証券会社が独自に決める「一般信用取引」の2種類があります。それぞれ下表にまとめたような違いがあります。

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大きな違いとして返済期限があります。制度信用取引は6ヶ月ですが、一般信用取引の返済期限は最大無期限となっています。

また、制度信用取引は、東京証券取引所など取引所が信用銘柄を決めるので、どの証券会社でも信用取引ができる銘柄は同じですが、一般信用取引は証券会社が銘柄を独自に決めるので、証券会社によって一般信用取引ができる銘柄が違います。

次に、制度信用取引で発生する逆日歩について解説していきます。

逆日歩とは?

逆日歩とは、制度信用取引をする際に発生することがあるコスト(手数料)です。株を売るためには機関投資家等から株式を借りる必要があり、その株の貸し手に調達コストとして、売り手が逆日歩を支払う必要があります。

逆日歩の手数料は「1日1株あたり何銭」のようになります。そのため、100株保有している銘柄に、1株あたり50銭の逆日歩がかかるとすると、1日あたり50円の逆日歩を支払うことになります。

各銘柄の逆日歩などは、以下のページから確認できます。基本的には、融資(買い)に対して、貸株(売り)が多い場合に逆日歩が発生します。

日本証券金融株式会社

注意点としては、逆日歩が実際にいくら必要か分かるのは、取引を行った翌営業日となってしまう点です。制度信用取引で信用売りを行う場合、逆日歩にいくら必要になるか分からない状態で取引を行うことになるため注意が必要です。

一般信用取引に逆日歩はない

逆日歩は、一般信用取引では発生しません。このため、つなぎ売り(クロス取引)で株主優待をもらう方には、制度信用取引よりも一般信用取引の方が人気があります。制度信用取引の場合、人気優待銘柄などでは高額の逆日歩を支払う可能性があるからです。

ちなみに、一般信用取引で売り注文(つなぎ売り)ができる証券会社は限られるので、証券会社選びに注意する必要があります。手数料の安い大手ネット証券では、以下4社で一般信用取引の売りが行えます。

銘柄(証券コード)優待利回り
(配当+優待)
クオカードの
金額(年間)
優待獲得のための
最低必要金額
プロパティーA(3464)2.58%
(4.55%)
3,000円〜116,500円
城南進学研究社(4720)2.43%
(4.86%)
年間1,000円41,200円
成学社(2179)2.22%
(3.44%)
年間2,000円90,100円
Eストアー(4304)2.20%
(5.39%)
年間2,000円90,900円
セントケア1.96%
(4.90%)
1,000円51,000円
中広(2139)3.64%1,000円55,000円
川西倉庫1.81%
(2.89%)
年間2,000円〜110,700円
さくらインターネット1.56%
(1.95%)
1,000円64,200円
ETSホールディングス1.39%
(2.08%)
1,000円72,100円
日本プラスト(7291)1.38%
(4.13%)
1,000円〜72,700円

一般信用取引ができる銘柄数が最も多い証券会社がauカブコム証券です。ただし、人気優待の場合、競争率が激しいので、各ネット証券の口座を開いておくと無難です。口座開設費・維持費は、どこも無料なので。

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