高配当ETFはおすすめしない?デメリットや理由は?
投資家が受け取る利益として配当金の存在は魅力的に映るが、高配当ETFを選択することには留意すべき点も多い。
持続的な配当収入を求めることは一見安定した投資戦略のようだが、高配当ETFには見落としがちなデメリットが存在し、それが理由で一部の投資家からは推奨されないこともある。
以下では、実際の投資判断に影響を与える可能性のある高配当ETF固有のデメリットについて詳細に解説する。
高配当ETFおすすめしない理由・デメリット①:経費率・信託報酬などの手数料が発生する/保有コストが割高なETF銘柄もある
高配当ETFを保有する際には、一般的な株式投資ではあまり意識されない経費率や信託報酬といったコストが発生する。
これらはETF運用会社が資産運用サービスを提供するために必要な手数料であり、投資家の利益を直接減少させることになる。
特に注意すべきは、保有コストが高く設定されているETF銘柄であり、配当利回りが高いものの、これらの手数料によって実際の手取り利益が減少してしまう可能性がある。
加えて、高コストのETFはパフォーマンスに対する影響が大きく、長期保有における累積コストは特に投資成果に悪影響を及ぼす。
従って、実際にETFを選択する際には、配当利回りだけでなく全体のコスト構造も考慮に入れることが必要となる。
高配当ETFおすすめしない理由・デメリット②:配当金・分配金が発生するため複利効果を最大限活かせない!
配当金もしくは分配金が高いETFは人気だが、分配時に投資家に現金が支払われることで、複利効果を最大限に活かす機会を逸する場合がある。
分配を再投資しない場合、資産が成長することはなく、単に現金収入として利益を享受するのみになる。
投資の世界では「複利の力」が資産形成の重要な要素であり、分配金を再投資して資産の雪だるま式の増加を図ることが理想的であるとされる。
しかしながら、高配当ETFの場合、頻繁に分配金が発生し、それをそのまま手元に留めてしまうと、資産増加のチャンスが減ってしまう。
したがって、長期的な資産成長を望む場合、配当再投資や複利効果を考慮した選択肢を考えることが求められる。
高配当ETFおすすめしない理由・デメリット③:配当収入(インカムゲイン)がメインで売却益(キャピタルゲイン)を狙いにくい
高配当ETFは、その名の通り配当収入を重視した商品であり、主にインカムゲインを目指す投資家に適している。
しかし、これによって売却益、すなわちキャピタルゲインを追求しにくくなることがデメリットとして挙げられる。
配当の高い株を集めたETFは、全体的な株価成長率が低い傾向にあることが指摘されており、したがって売却による資産増加を期待する場合には最適とは言えない。
キャピタルゲインを重視する投資戦略を採用する場合、株価の成長率が見込まれる成長株に投資することが一般的であり、高配当ETFのポートフォリオはこの点で不利になる可能性がある。
高配当ETFおすすめしない理由・デメリット④:VYMなどの米国ETFの取引では株式の売買手数料以外に為替手数料も発生する!
VYMなどの米国ETFは、日本の投資家にとって外国為替の影響を受けるが、これが投資のデメリットとなり得る。
具体的には、米国ETFの購入時や売却時には、株式の売買手数料のほかに為替手数料が発生する。
これは日本円をドルに交換する際、またその逆の際にかかるコストであり、為替レートの変動によって投資家の利益が左右される。
円安の時に米国ETFを購入し、円高の時に売却すると大きな為替差損が生じる場合があり、為替リスクの管理が不可欠となる。投資家は為替変動に注意し、外貨資産を持つ際のコスト効率を考慮する必要がある。
高配当ETFおすすめしない理由・デメリット⑤:米国ETFの場合、配当金・分配金に米国課税が追加されてしまう
米国ETFに投資した場合、配当金や分配金には米国の税金が課されることがデメリットとして挙げられる。
米国で発生する所得には源泉税が適用され、通常30%の税率で投資家の手元に届く前に徴収される。
ただし、日米間の租税条約によって課税率が低減される場合もあり、これにより15%程度に抑えられることもある。
それにもかかわらず、配当金に関する課税は投資利回りに影響を与え、特に高配当ETFの場合、税金の影響が大きな割合を占める結果となる。
したがって、米国ETFに投資する場合には、税金の問題を適切に理解し、それを投資判断に含める必要があり、高配当ETFが必ずしも有利とは限らないことを認識することが重要である。
高配当ETFはおすすめしない?高配当株のリスクは?
投資家の中には、高い配当金に惹かれる方も多いでしょう。
しかし、高配当ETFや高配当株が常に最良の投資選択とは限りません。
なぜなら、より高いリターンを期待できるかもしれない一方で、幾つかのリスクが存在するからです。
これらのリスクを理解し、吟味することが賢明な選択肢を選ぶうえで欠かせません。
高配当ETFのリスク①:業績不振や財務悪化などによる配当金の減少「減配」のリスク
高配当ETFは多くの場合、配当利回りが高い企業を集めた投資商品です。
しかし、これらの企業が経済環境の変化や業績不振により、配当金を減らす「減配」を行うことがあり得ます。
減配は投資家にとって収益の減少を意味し、配当金の安定性が損なわれることになりかねません。
配当金の減少はETFの価値を下げ、結果として投資元本への影響も招くことになります。
業績不振による減配のリスクは、毎年安定した収入を期待する投資家にとって重要な考慮事項となるでしょう。
高配当ETFのリスク②:減配などにより相場よりも株価下落が激しい可能性も
高配当株は、収益が悪化した際に配当支払いを維持するため、株価が敏感に反応する傾向にあります。
特に、減配や配当の停止が発表されると、それまで配当狙いで保有していた投資家が売却に走ることが考えられます。
その結果、相場全体が持ち堪える中で、高配当ETFの株価だけが大きく下落する場合があります。
減配は株価にダイレクトに影響を与えるため、投資家は長期の資産形成を目指す際に、このリスクを認識することが求められます。
高配当ETFのリスク③:債券などの金利上昇により高配当ETFの利回りの魅力が相対的に落ちる可能性も
高配当ETFは高い利回りを提供するために選ばれることが多く、特に低金利環境下では投資の魅力を増します。
しかし、金利の上昇は債券の利回りを高め、高配当ETFとの利回り差を縮めてしまうことがあります。
金利が上昇すると、投資家はリスクを取らずに得られるリターンを重視し始め、結果として高配当株の魅力が薄れることがあります。
金利環境の変化によっては、投資家が高配当ETFよりも他の金融商品に興味を持つ可能性もあるため、このリスクに留意する必要があります。
高配当ETFのリスク④:金融セクターなど高配当の業種は偏る傾向があるため業種・業界の動向に注意
多くの高配当ETFは、金融セクターやユーティリティセクターといった特定の業種に組み入れられる銘柄が多い傾向にあります。
これらセクターは配当利回りが高いことで知られていますが、一方でセクター特有のリスクも抱えています。
金融セクターでは金利の変動が、ユーティリティセクターでは規制改革が収益に大きな影響を与えることがあります。
そのため、高配当ETFを選ぶ際には、業種の偏りによる市場変動のリスクを理解し、業種ごとの最新の動向を注視することが欠かせません。
高配当ETFのリスク⑤:株価が下落して一時的に配当利回りが上昇した業績不振の銘柄が組み込まれることもある
時には、株価が下落して配当利回りが一時的に高まることがあります。
これは、市場が業績の悪化を価格に反映させた結果です。
高配当ETFは配当利回りが基準になるため、株価が下落し配当利回りが高くなった業績不振の銘柄が組み込まれることがあります。
高配当利回りが必ずしも企業の健全性を反映しているわけではないため、投資家は銘柄選定の際に、配当利回りの増加が株価下落によるものでないかを検討することが重要です。
株価が下落したことで見せかけの高配当利回りが生まれるリスクを考慮し、個々の銘柄の財務健全性を厳しく評価することが必要になります。
高配当ETFはおすすめしない?高配当ETFは新NISAに向いてる?
高配当ETFに対する見方は分かれます。
リスクを避け、安定的な収入を重視する投資家にとって魅力的である一方で、投資の目的が成長株による資産の増加にある場合は最適ではないかもしれません。
新NISAの成長投資枠での利用については、税制上のメリットを考えれば一考の価値があります。
そもそも高配当ETFとは?
高配当ETFは、株式市場で特に高い配当を提供する企業に焦点を当てた上場投資信託です。
これらのETFは、定期的な収入としての配当を目的としており、安定したキャッシュフローを求める投資家にとって魅力的です。
通常、公益事業や金融セクターなど、成長性より安定した配当支払いを優先する業界の企業からなるポートフォリオを持っています。
高配当株と高配当ETFの違いは?手数料と銘柄の分散性
高配当株を直接購入する場合と高配当ETFを経由して投資する場合の主な違いは、手数料と分散性です。
個別の高配当株を購入する時は、銘柄選定や取引の手数料が発生し、分散投資を行うには相応の資金が必要になります。
一方、高配当ETFは多くの高配当銘柄に一度に投資できるため分散投資を簡単に実現できますし、取引手数料もETF1つ分で済みます。
高配当ETFは新NISA(成長投資枠)で購入可能!配当金・分配金が非課税でお得に!
新NISA(特定口座非課税投資)では、成長投資枠を利用して高配当ETFを購入することが可能です。
配当金や分配金が非課税となるため、税金の負担を気にすることなく、より多くの収益を手元に残すことができます。
特に配当金を再投資する場合には、複利効果が非課税の枠内で最大限に活用できるため、長期的な資産形成に資する可能性が高まります。
高配当ETFはおすすめしない?高配当ETFにメリットはある?
高配当ETFは、配当利回りが高い株式に投資するETFであり、一見すると魅力的な投資先に映るかもしれません。
しかし、高配当には相応のリスクが伴い、必ずしも全ての投資家におすすめできるものではありません。
それでも高配当ETFには、多くの投資メリットが存在します。
以下で、その利点を順に明らかにしていきましょう。
高配当ETFのメリット①:投資初心者でも手軽に分散投資が行える!
高配当ETFの最大の魅力の一つは、投資初心者でも容易に分散投資を行える点です。
分散投資はリスクを抑えつつ、安定したリターンを追求するための基本戦略であり、多数の株式へと資金を分けて投資することで、個別の銘柄の不振が全体のパフォーマンスに与える影響を軽減できます。
高配当ETFに投資することにより、一つの商品で複数の高配当株に同時に投資することができ、それぞれの企業に対する深い知識や分析がなくとも、効率的な資産運用が可能になります。
そのため、これから投資を始める方でもアクセスしやすく、分散投資の利点を享受できるのです。
高配当ETFのメリット②:立会時間内であれば株式のようにリアルタイムで売買できる!
株式投資と同様に、高配当ETFも証券取引所が開いている時間帯であればいつでも売買が可能です。
これにより市場の変動に素早く対応することができるだけでなく、自身の資金状況や投資戦略に合わせたタイミングでの売買が実現できます。
また、株価のリアルタイムな変動を見ることができるため、自らの意思決定に基づいた柔軟な取引が行える点も、高配当ETFの大きなメリットと言えるでしょう。
ETFは投資信託と比べて流動性が高く、短期間での売買がしやすい特徴があります。
高配当ETFのメリット③:少額から購入・積立ができる!
高配当ETFは、個別の株式を購入するよりも少額の資金で始められる利点があります。
ETFは1口から購入できることが多く、限られた予算内で気軽に高配当株への投資を始められるため、小資金での資産形成を考えている方に最適です。
また、多くの証券会社ではETFの定期購入を設定できるため、積立投資として少額からコツコツと資産を増やしていくことも可能です。
こうした手軽さが、あらゆる層の投資家に高配当ETFが受け入れられている理由の一つとなっています。
高配当ETFはおすすめしない?【まとめ】メリットやデメリットは?
以上の内容から、高配当ETFにはいくつかのデメリットやリスクが存在することが分かります。
まず、高配当株は通常、収益性が高い代わりに企業の成長性が低い場合があります。
また、配当金の支払いが継続しない可能性や、配当金が減少するリスクも考慮する必要があります。
さらに、高配当ETFは株式市場の変動に影響を受けるため、株価の下落によって投資元本が減少するリスクもあります。
一方で、新NISA制度を活用する場合には高配当ETFに一定のメリットも存在します。
新NISAでは、特定口座において10年間の非課税投資が可能です。
高配当ETFに投資することで、配当金を非課税で受け取ることができます。
また、高配当ETFは長期的な運用に適しており、定期的な配当金の受け取りによって資産形成を進めることができます。
ただし、高配当ETFを選ぶ際には注意が必要です。
過度に高い配当利回りを謳っているETFは、その裏にリスクが潜んでいる可能性があります。
適切なリスク管理や投資分散を行うことが重要です。また、高配当ETFの選び方には株式の基本的な分析や評価が必要となります。
高配当ETFをおすすめしない理由やデメリットはあるものの、長期的な資産形成や新NISA制度の活用において一定のメリットも存在します。
投資を検討する際には自身のリスク許容度や目的に合わせて適切な判断を行うことが重要です。
投資に関する具体的なアドバイスや情報は、証券会社や専門家に相談することをおすすめします。