株式投資を行う際、一つの銘柄を複数の証券会社で保有するメリットやデメリットについて知識を深めることは重要です。
複数の証券会社を利用することで、株主優待の獲得や手数料の比較、リスクの分散など様々な利点が考えられます。
一方で、口座を分けることで管理が煩雑になる可能性や情報の一元化の難しさなど、デメリットも存在します。
本記事では、複数の証券会社で同じ銘柄を保有することの利点や注意すべきポイントについて探究していきます。
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリットは?【株主優待】
次に、複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリットを、株主優待や配当に関してみていきます。
複数の証券会社で同じ銘柄(優待)を買うメリット:違う名義なら優待が2倍に!
株主優待がもらえる銘柄へ投資をしていると、
- もう少し、優待券/ クオカードが欲しいなぁ。
- お米/ 優待品がもっと届かないかぁ。。
と思ったことがある方も多いと思います。
ただ、優待券や優待特典をさらに多くするには、株式を増やすなど投資資金を増やさなてくはいけません。
また、ほとんどの企業の場合、下表の丸亀製麺で有名なトリドールのように、保有株数を2倍にしたからと言って、優待品が2倍になるわけではありません。
株数 | もらえる優待券 |
---|---|
100株 | 3,000円分 |
200株 | 4,000円分 |
1,000株 | 10,000円分 |
2,000株 | 15,000円分 |
しかし、家族みんなで優待銘柄を持つことで、効率的に優待を獲得することができます。
例えば、トリドールの株主優待を例にとってみると、1人で「200株」投資する場合、もらえる優待券の金額は「4,000円」分になります。
一方、自分と家族の誰か一人の口座で、100株ずつ合計200株購入すると、それぞれに100株保有分の優待券「3,000円分」が贈呈されるので、合計6,000円分の優待券をもらえることになります。
このように、家族名義の複数の証券口座を持つことで、株主優待がお得に獲得できます。
複数の証券会社で同じ銘柄(優待)を買うデメリット・注意点
ただし、以下のような注意点もあるので気をつけましょう。
- 仮名、借名取引は禁止。
- 同じ名義で複数の証券会社で優待銘柄を購入しても優待品は2倍にならない。
家族名義の口座で、優待銘柄を購入することで、家族の名義分の優待品がもらえますが、法令諸規則などで仮名、借名取引は禁止となっています。
そのため、証券口座の手続きや投資・取引は、必ず本人が行うようにしましょう。
また、同じ名義人(例:Aさん)が複数の証券口座で分けて、100株ずつ購入しても、Aさんの保有株数は200株とカウントされて、100株分の優待品が2倍もらえるわけではない点に注意しましょう。
複数の証券会社で同じ銘柄を買う場合の配当金は?
株主優待の場合とは違い、配当金に関しては、複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合、それらの保有株数が合算され、配当金が受け取れます。
ただし、配当金の受け取り方法は、口座開設時などに設定した、以下の3つのうちのいずれか一つになります。
受取方式 | 内容 |
---|---|
株式数比例 配分方式 | 保有するすべての株式等の配当金を 証券会社の口座で受領する方式。 |
登録配当金 受領口座方式 | 他の証券口座を含む保有するすべての株式の 配当金を指定した一つの預金口座で受領する方式。 |
個別銘柄 指定方式 | 銘柄ごとに指定した預金口座で 配当金を受領する方式。 |
NISA口座を利用する方は、「株式数比例配分方式」にしておきましょう。
私も、配当金の受け取り方式は、株式数比例配分方式に設定しています。
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリットは?違う証券会社での投資信託は?
楽天証券やSBI証券など、複数の証券会社で同じ銘柄(投資信託)を購入するメリットには、主に、以下の2点があげられます。
- クレジットカード決済での積立金額がアップ
→トータルのポイント付与数が増える! - 証券口座のトラブル回避などのリスク分散
以下、各メリットについて詳しく解説していきます。
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリット①クレカ積立でポイント付与数がアップ!
SBI証券や楽天証券では、三井住友カードや楽天カード等のクレジットカード決済で、お得に投資信託の積立が行える「クレカ積立」が行えます。
クレカ積立を行なっている証券会社や利用可能なクレジットカード、また、進呈されるポイントやポイント還元率は、以下の表のようになっています。
証券会社 | 利用できる クレジットカード | ポイント 還元率 | もらえる ポイント |
---|---|---|---|
SBI証券 | 三井住友カード | 最大5% | Vポイント |
楽天証券 | 楽天カード | 最大1% | 楽天ポイント |
auカブコム証券 | au PAYカード | 最大1% | Pontaポイント |
マネックス証券 | マネックスカード | 最大1.1% | マネックスポイント |
tsumiki証券 | エポスカード | 最大1% | エポスポイント |
この便利でお得なクレカ積立ですが、クレジット決済で積立できる上限金額が「5万円」という制約があります。
ただし、この上限5万円の制限は、一つの証券会社に限ります。
そのため、複数の証券口座のクレカ積立を利用することで、ポイントをもらいながら、お得に積立ができる上限金額を増やすことができます。
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリット②証券口座の分散でリスク回避!
投資信託よりも、立会い時間に制限がある株式取引の方がクリティカルですが、証券会社のシステム障害などで、自分が取引したいタイミングで、一時的に売買ができなくなることもあります。
たまに、Twitterでも、ログインができない等の障害を耳にしますね!
このような、システム障害が起きたときでも、複数の証券口座を保有していれば、他の口座で取引できるので、リスク回避・分散につながります。
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリット【投資信託・まとめ】クレカ積立の実践例
ここまで解説してきたように、複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリットには、
- クレカ積立の上限金額アップ!
- 証券口座のリスク分散!
などがありました。
特に、クレカ積立に関しては、上限金額を増やすことで、付与ポイントを増やすことができます。
例えば、楽天証券のみで、楽天カード投信積立を行なっている場合、最大の1%還元でも、上限5万円の積立では、毎月500ポイントしかもらえません。
証券会社 | 決済方法 | 最大付与 ポイント |
---|---|---|
楽天証券 | 楽天カード | 500ポイント |
楽天キャッシュ | 250ポイント |
一方、SBI証券やauカブコム証券、マネックス証券など複数の証券口座でクレカ積立を行うことで、さらに多くのポイントを上乗せすることができます。
証券会社 | 決済方法 | 最大付与 ポイント |
---|---|---|
楽天証券 | 楽天カード | 500ポイント |
楽天キャッシュ | 250ポイント | |
SBI証券 | 三井住友カード | 2,500ポイント |
auカブコム証券 | au PAYカード | 500ポイント |
マネックス証券 | マネックスカード | 600ポイント |
このように、クレカ積立を行う方は、複数の証券会社で投資信託を買うメリットが特に大きいので、積立上限を増やしたい方は、いくつ証券会社の口座開設を行なってみましょう。
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリット・デメリットは?
ここまで解説してきたように、複数の証券会社で同じ銘柄を買う場合、多くのメリットがありますが、以下のような注意点・デメリットもあることに留意しましょう。
- 付与ポイントが分散してしまう。
- 証券口座の管理の手間
- 証券口座間の損益通算は確定申告が必要
以下、各デメリット・注意点について詳しく解説していきます。
複数の証券会社で同じ銘柄を買う場合のデメリット・注意点①ポイント分散してしまう
「複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリットは?【投資信託】」で解説したように、複数の証券会社でクレカ積立を行うことで大量のポイントを獲得することができます。
ただし、SBI証券はVポイント、楽天証券は楽天ポイントのように、各証券会社でもらえるポイントはバラバラです。
証券会社 | もらえる ポイント |
---|---|
SBI証券 | Vポイント |
楽天証券 | 楽天ポイント |
auカブコム証券 | Pontaポイント |
マネックス証券 | マネックスポイント |
tsumiki証券 | エポスポイント |
そのため、普段使いなれていないポイントが付与されるとお得感が薄れてしまう可能性があります。
複数の証券会社で投資信託の積立を行う場合は、贈呈されるポイントの使い道(出口戦略)まで考えることが重要です。
複数の証券会社で同じ銘柄を買う場合のデメリット・注意点②証券口座の管理の手間
また、複数の証券会社を開設・維持することで、様々な手間が増えるのも事実です。
IDやパスワードの管理
SBI証券や楽天証券などのインターネット証券を利用する場合は特に、証券口座ごとのIDやパスワード設定が重要です。
ただし、証券口座の数が多くなればなるほど、IDやパスワードの管理、さらには各証券会社に届くお知らせの確認などの手間がかかります。
管理が面倒だからという理由で、同じID・パスワードを使いまわすと、不正アクセスにあうリスクが増えるので要注意!
資産状況の把握
また、資産状況の把握もやや難しくなります。
例えば、証券口座が1つだけであれば、その資産や残高、損益は、一つの証券口座を確認するだけで、全体の資産状況の把握が行えます。
しかし、複数の証券会社で同じ銘柄を保有していると、自分で、各口座の損益を確認して計算しなくてはならないため、資産状況を把握する手間が増えます。
マネーフォワードなど、家計管理アプリを利用するなどの工夫が必要です。
複数の証券会社で同じ銘柄を買う場合のデメリット・注意点③損益通算は確定申告が必要
証券会社では、口座開設時に「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶことで、損益通算などを自動で行ってくれます。
用語 | 内容 |
---|---|
特定口座 | 特定口座とは、株式・投資信託などの金融商品の売買内容の記録・ 損益の計算を証券会社が、我々投資家に代わって行ってくれる口座のことです。 |
損益通算 | 損益通算とは、株や投資信託などの利益から損失を差し引くことによって、 利益にかかる税負担を軽減できる制度です。 |
私も、事務手続きを減らすため、全ての証券口座で「特定口座(源泉徴収あり)」に設定しています。
一つの証券会社だけ使っている場合、特定口座(源泉徴収あり)を選択していれば、確定申告などは特に必要ありません。
しかし、二つ以上の証券口座間の損益通算はしてくれないため、自分で確定申告を行う必要があります。
厳密には、各証券口座で「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していれば、確定申告の義務はありませんが、納め過ぎた税金が戻ってくる可能性もあるため、確定申告をするのが無難です。
例えば、以下のようなケースです。
- 証券会社Aで、2万円の株式の譲渡益
- 証券会社Bで、2万円の損失
上記のような場合、株式や投資信託の売却益には20%程度の税金が課せられるため、約4,000円(=2万円×20%)が証券会社Aで源泉徴収されます。
一方、証券会社Bでは利益が出ていないため、源泉徴収はされず、確定申告は行わなければ、トータルで約4,000円を納めたことになりました。
しかし、確定申告を行えば、証券会社AとBでの損益通算で利益は0となるため、証券会社Aの源泉徴収で納めた約4,000円が戻ってくることになります。
複数の証券会社をもつメリット・デメリットは?
ここまで、複数の証券会社で同じ投資信託や株主優待・配当株を購入するメリットや注意点、デメリットを解説してきましたが、それぞれメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。
複数の証券口座を開設するメリット
「複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリットは?【投資信託】」で解説したように、クレジットカード決済で投資信託の積立を行う方であれば、複数の証券口座を開設することで、積立上限を引き上げ、獲得ポイント数を増やすことができます。
- クレカ積立の上限金額アップ
→贈呈ポイント数の増加 - リスクの分散
- 家族名義分の優待がもらえる
また、株主優待銘柄への投資を行っている方であれば、「複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリットは?【株主優待・配当】」で解説したように、家族みんなで優待銘柄を持つことで、名義分の優待がもらえるなどのメリットがあります。
ただし、家族名義の口座では、法令諸規則などで仮名、借名取引は禁止となっている点に注意。
複数の証券口座を開設するデメリット
次に、複数の証券口座をもつ場合の注意点やデメリットは、以下のようなものがありました。
- ポイントの分散。
- IDやパスワード管理の手間
- 資産状況の把握の手間
- 証券口座同士の損益通算は確定申告が必要
特に、複数のポイントやID、パスワードの管理や確定申告の手間が増えるため、メリットよりもデメリットの方が大きいと感じる方は、複数の証券口座を管理するのはやめておきましょう。
複数の証券口座を開設するメリッt・デメリット【まとめ】
- クレカ積立の上限金額アップ
→贈呈ポイント数の増加 - リスクの分散
- 家族名義分の優待がもらえる
- ポイントの分散。
- IDやパスワード管理の手間
- 資産状況の把握の手間
- 証券口座同士の損益通算は確定申告が必要
このように、複数の証券口座を持つことで、ポイント還元などのお得度がアップします。
ただし、管理や確定申告などの手間が増えるもの事実なので、手間とお得度を天秤に掛けて、一つの証券会社で投資を行うか?複数の証券会社を使い分けるか、検討しましょう!
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリット【まとめ】株主優待は?
以上、複数の証券会社で同じ銘柄を購入するメリットとデメリットについてご紹介しました。
結論として、複数の証券会社で同じ銘柄を保有することにはいくつかのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
まず、投資信託を購入・積立する場合、複数の証券会社を利用するメリットは、
- クレカ積立でポイント付与数がアップ:
SBI証券や楽天証券などで、クレジットカード決済で投資信託の積立が行える「クレカ積立」がある。
異なる証券会社で異なるクレジットカードを使用することで、付与されるポイントが増加し、お得感が高まる。 - 証券口座のリスク分散:
複数の証券口座を持つことで、証券会社のシステム障害などが起きても他の口座で取引が可能であり、リスクを分散できる。
の2点がありました。
また、株主優待や配当を重視する場合にも、複数の証券会社を利用することで、より多くの優待や配当を受け取ることができる可能性があります。
一方、デメリットとしては、
- ポイント分散:
証券会社ごとに異なるポイントが付与されるため、ポイントの使い道やアカウント管理に注意が必要。 - IDやパスワード管理の手間:
複数の口座で異なるIDやパスワードを管理する手間が増える。 - 資産状況の把握の手間:
複数の口座で資産や残高、損益を把握するのがやや難しくなる。 - 証券口座同士の損益通算は確定申告が必要:
複数の口座間での損益通算は確定申告が必要であり、手続きが煩雑になる。
などがありました。
証券会社を複数もつことには一定のメリットがありますが、デメリットもあることを念頭に置きながら、自身の投資目標やリスク許容度、利益の最大化を考慮して、適切な選択を行ってください。
それぞれの証券会社の特徴や手数料、サービス内容などを比較検討し、自身に最適な選択をすることが重要です。
投資にはリスクが伴いますので、慎重な判断を行うようにしましょう。
複数の証券会社で同じ銘柄を買うメリット【よくある質問】
楽天証券と楽天銀行を同時開設するデメリットは?
楽天証券と楽天銀行は、個別に利用されているだけでなく、同時に開設することも多いサービスです。
しかし、同時に開設することによって発生するデメリットという視点について、注目して考えてみたいと思います。
一見便利さや統一感を感じることができる同時開設ですが、実際にはそれに伴う問題や制約も存在するのです。
関連ページでは、同時開設のデメリットについて、具体的な事例や現在の利用者の声をもとにご紹介いたします。
楽天証券と楽天銀行を同時に開設する際に注意すべきポイントやデメリットを把握することで、よりスムーズな利用が可能になるでしょう。
楽天銀行のメリット・デメリットは?
近年、インターネットバンキングの人気が高まっており、その中でも楽天銀行が注目を浴びています。
楽天銀行は、オンライン上での手続きや取引が可能なため、利便性の高さが魅力です。
しかし、新しい取引方法にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
関連ページでは、楽天銀行のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
さまざまな面から検証し、利用を検討している人々が知っておくべきポイントをお伝えします。
楽天銀行の特徴やサービス、そして課題について詳しく掘り下げていきましょう。
マネーブリッジのデメリットは?
最近は、楽天証券の「マネーブリッジ」というサービスが注目を浴びています。
投資初心者や忙しい方にとって、手軽に始められるつみたてNISAの一環として、「マネーブリッジ」が利用されています。
しかしこのサービスにはデメリットも存在し、登録するだけでは済まない注意点もあります。
そのため、以下の関連記事では、マネーブリッジのデメリットや登録の注意事項、さらにはつみたてNISAの詳細について探求していきます。
初心者の方から上級者の方まで、投資に興味を持っている方にとって、有益な情報を提供できることを目指しています。
楽天証券口座作るだけは?
投資において、情報収集と正確な分析は非常に重要です。
その中でも、楽天証券口座は利用者にとってアクセスしやすく、使いやすい取引口座として多くの人気を集めています。
しかしながら、楽天証券口座を開設する上でのデメリットや手数料についても確認しておくことは大切です。
そこで、以下紹介する関連ページでは、楽天証券口座のデメリットや手数料について詳しく解説し、利用者が正確な判断をするための情報を提供します。
また、楽天証券口座のメリットや利点についても具体的な事例を交えながら紹介します。
自分自身の投資スタイルや目標に合わせて最適な取引口座を選ぶために、この記事を参考にしてみてください。
証券口座を放置するデメリットは?
証券口座を放置していませんか?
多忙な日常生活の中で、口座管理を後回しにしてしまうことはよくあることですが、その結果、様々なデメリットが生じる可能性があります。
そこで、下記の関連ページでは、証券口座を放置することで生じるデメリットや解約手続き、手数料などについて解説します。
証券口座の保有者である皆さんが正しい情報を持ち、適切な対処方法を選ぶことで、問題を未然に防ぐことができるようになります。
証券口座の管理についての大切なポイントをお伝えしますので、ぜひご一読ください。