個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)とは、大きな節税効果を得つつ、将来の資産運用ができる制度です。所得税・住民税を大きく減らすことができ、年金の運用益が非課税になるなどのメリットがあります。
また、これらの大きなメリットに加えて、2017年のDC法改正により、公務員・主婦の方など、ほぼ全ての方がiDeCoを利用することが可能になり、さらなる注目を集めています。
そこで、本記事では、iDeCoの概要やメリット・デメリットを振り返りつつ、最適な運用方法や投資商品などを解説します。また、運用の上で重要な金融機関の選び方なども解説します。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の特徴
はじめに、個人型確定拠出年金(iDeCo)について簡単に復習していきます。すでにご存知の方は、読み飛ばしていただいて構いません。
確定拠出年金とは?
確定拠出年金は、年金加入者が掛金を拠出して、将来のリタイア・退職時に、その金額が給付される仕組みです。
通常、年金というと、加入者が支払った掛金を年金事務局が集約・運用し、リタイアした人に給付するという仕組みをイメージしますが、確定拠出年金は、自分専用の口座に掛け金を積み立て、将来引き出すような仕組みとなっています。
自分で掛け金を積み立てるので少々面倒に感じる方もいるかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo)には、その煩わしさを上回るメリットがあります。以下、iDeCoのメリットを解説していきます。
メリット
iDeCoには、大きくわけて以下のようなメリットがあります。NISAと同様に運用益が非課税となるだけでなく、掛け金分が全額所得税になる等、税制面でかなり有利な優遇を受けられます。
iDeCoのメリット
- 運用益が非課税
- 掛金が全額所得控除
- 年金受給時の税制優遇
実際にこれらのメリットが、どの程度影響するのかを具体的に計算したものが下表になります。この例では、30歳の方が60歳まで(運用年数:30年)利回り2%で、毎月23,000円を積み立てた場合の非課税・所得控除額です。
所得 | 所得控除による 節税メリット合計 | 運用益の非課税(再投資) によるメリット合計 | 2つの合計 |
---|---|---|---|
300万円 | 2,169,360 | 675,226 | 2,844,586 |
500万円 | 3,254,040 | 675,226 | 3,929,266 |
800万円 | 3,579,444 | 675,226 | 4,254,670 |
1,000万円 | 4,664,124 | 675,226 | 5,339,350 |
2,000万円 | 5,423,400 | 675,226 | 6,098,626 |
所得によって約300~600万円の節税が行えることとなります。会社などで源泉徴収されている方は、イメージ的には、この額が戻ってくる感じです。利回り2%が控えめな数字なので、後述する運用商品などで利回りがアップすれば、さらにメリットが増えます。
シミュレーションなどの詳細は、以下もご参照ください。
デメリットは?
このように、税制上かなり優遇される個人型確定拠出年金(iDeCo)ですがデメリットもあります。それは、拠出金が、年金給付まで引き出せない(回収できない)点です。しかし、将来の年金を強制的に積み立てることができるため、むしろメリットとも言えるかもしれませんね。
最適な運用方法・金融商品は?
個人型確定拠出年金(iDeCo)の特徴を復習したところで、早速、どのような投資商品が有力な投資商品となるか?見えてきます。iDeCoの運用商品を選ぶ上でのポイントや資産クラス、実際の商品を解説していきます。
リターンが期待できるものをiDeCoへ
まず、重要となるポイントが「運用資産・運用商品のうちリターンが期待できるものをiDeCoで利用する」という点です。理由は、iDeCoでの運用益が非課税となるためです。
例えば、将来の資産形成のため、国債・定期預金や株式型の投資信託を購入予定の場合、ローリスク・ローリターンの国債や定期預金をiDeCoで運用するのではなく、リターンが期待できる株式をiDeCoで運用する方が、運用益の非課税メリットを得ることができます。
このように、資産配分全体の中で、リターンが期待できるものを確定拠出年金として重点的に運用することで、非課税メリットが大きくなります。
低コスト分散投資が基本
上で述べたように、iDeCoの基本方針は、購入予定の商品の中で、より中長期でリターンが期待できるものを利用するという点でした。次に、実際にどのような運用商品が良いのか?また商品を選ぶ上で注意する点などをまとめていきます。
運用商品を選ぶうえで重要なポイントが「分散性の高い商品」を選ぶことです。個人型確定拠出年金(iDeCo)は、基本的に60歳まで投資資金が引き出せないため、長期投資となります。そのため、分散効果が高い運用商品を利用し、長期で安定した運用を行うことが重要です。
また、投資コストの安い商品を選ぶことも重要です。信託報酬などの手数料(コスト)は、確実なマイナスリターンとなりパフォーマンスを悪化させるので、低コストの運用商品を選ぶことが、投資パフォーマンス向上のために重要です。
運用商品のポイント
- 分散性の高いものでリスク管理
- 低コスト商品
このようなポイントを考慮すると、低コストで分散性の高いインデックスファンドが投資候補となります。インデックスファンドは、日本や先進国、新興国の株式・債券市場など様々な資産に、低コストで分散投資が行えます。
インデックスファンドについては、以下もご参照ください。
https://money-laboratory-ryoma.net/toshin/#index-fund
外国株式型インデックスファンドがオススメ!?
運用益の非課税メリットを考えると、iDeCoでインデックスファンドの運用をする場合も、相対的に高いリターンが期待できるファンドをiDeCoで運用する方が良いでしょう。
具体的には、先進国など外国株式型のインデックスファンドです。
日本株型のインデックスファンドも選択肢としてありますが、日本株の場合、iシェアーズTOPIX ETFやMAXISトピックス上場投信(1348)などのETFの方が安いので、わざわざ、iDeCo内で購入するよりも、NISAなどでETFを購入する方が良いでしょう。
逆に、外国株式のインデックスファンドは、一般に売り出されている商品と同程度の低コスト商品が、iDeCoで用意されています。例えば、SBI証券のiDeCoで購入できるDCニッセイ外国株式インデックスは、信託報酬(年率)0.2268%と超低コストで、先進国株式市場へ分散投資を行うことができます。
バランスファンドはiDeCoに不向き!?
ここまで解説してきた内容を考慮すれば、株式や債券を組み合わせたバランスファンドは、iDeCoの運用ではベストな商品とは言えません。債券のようなローリターン商品よりも、株式のような高リターン商品をiDeCoに重点的にいれた方が、非課税メリットを活かせるためです。
ただし、これはあくまで基本方針で、将来の資産形成のために、iDeCoしか利用しないという場合は、リスクに合わせて、バランスファンドを運用しても良いでしょう。
バランスファンドについては、以下をご参照ください。
https://money-laboratory-ryoma.net/toshin/#balance-fund
ここまでのまとめ
ここまで解説してきたことをまとめると、iDeCo内では、国債や定期預金などのローリスク・ローリターン商品よりも、株式などリスク・リターンが高めの運用商品が税制面のメリットをより多くうけることができます。
具体的な資産クラス・商品としては、外国株式インデックスファンドなど、低コストのインデックスファンドを活用するのが良いでしょう。ただし、これはあくまで基本方針で、運用額や許容できるリスクの範囲によって、運用は変わってきます。
それでは最後に、iDeCoの運用を行うのに、おすすめできる証券会社など金融機関の紹介をしていきます。コストや運用商品に違いがあるため、その辺を十分に考慮し、金融機関を選ぶことが重要です。
iDeCo向けの証券会社は?
個人型確定拠出年金(iDeCo)運用のためには、iDeCo専用の金融機関(銀行や証券会社など)を選ぶ必要があります。金融機関ごとに、取り扱い商品や口座管理費などの手数料・コストが違うので、商品の品揃え(投資したい商品があるか?)、手数料が安い運用先を選ぶことが重要です。
そこで、商品の品揃えや管理費の観点から金融機関を比較していきます。まず、下表は、iDeCoでの運用がお濃なる金融機関の手数料や投資商品を比較した表です。手数料が安く注目度の高い金融機関のみ表示しています。
ネット証券として有名な「SBI証券」と「楽天証券」がiDeCoの運用先として手数料が安くオススメです。投資商品も、いずれの証券会社も低コストの様々な運用商品があるので、どちらでも大きな違いはありません。
ただし、どうしても購入・運用したい商品がある場合は、そちらの運用ができる証券会社を選ぶと良いでしょう。例えば、人気のひふみはSBI証券でしか購入できません。逆に、セゾン投信系のファンドは楽天証券でしか購入・保有ができません。
私自身は、ひふみ年金の運用を考えてSBI証券でiDeCoの口座を開設しております。
参考 SBI証券・楽天証券のiDeCoに関しての詳細や無料口座開設は、以下の公式ページから行なえます。
SBI証券は、投資信託、米国株・海外ETFの品揃えが良く、コストも業界最安水準です。また、IPOチャレンジポイントやPTSなど、様々な独自のメリットがあります。口座開設費・維持費は無料ですので、口座を持っていない方は、この機会に口座を開設してみると良いかもしれません。
SBI証券の特徴 | |
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SBI証券 |
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また、本ブログでのSBI証券の評価・解説は、以下をご参照ください。