世界経済(世界の株式市場)を牽引する、米国経済(米国株式市場)への投資を目的とした投資商品には、たくさんのETFやインデックスファンド等があります。
S&P500やNYダウと連動した成績を目指す低コスト商品から、スマートベータ型まで幅広い商品があります。
そこで、本ページでは、米国株式市場への投資を目的としたETFやインデックスファンドを紹介していきます。投資方法の特徴や手数料(信託報酬・手数料)などを比較しつつ、注目のファンドなどを紹介していきます。
インデックスファンドとETFの違い
米国株式市場への投資を目的とした投資商品を紹介する前に、本ページで登場する「インデックスファンド」と「ETF」の違いについて簡単に復習していきます。すでに、ご存知の方は読み飛ばしてください。
インデックスファンドとETFの主な比較ポイントは「コスト」「利便性」があります。以下、この2つのポイントに関して、両商品を比較していきます。
- コスト:商品の売買手数料「初期コスト」と保有期間中にかかる「継続コスト」がある
- 利便性:売買の方法や積立の仕組み等に違いがある
手数料(コスト)比較
はじめに、コストに関して比較していきます。下表は、インデックスファンドとETFの初期コスト・継続コストを比較したものです。ネット証券で購入手数料が無料になることが多いインデックスファンドが初期コストは安くなりますが、継続コストである信託報酬は、ETFの方が割安である場合が多くなっています。
インデックスファンドとETFの手数料(コスト)比較:
項目 | インデックスファンド | ETF |
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初期 コスト |
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継続 コスト |
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結局どっちが安いの?と疑問がわくかもしれませんが、その答えは「運用期間」によって違います。商品によって違いますが、おおよそ10年程度以上継続的に商品を保有する場合、初期コストよりも継続コストが重要になってきます。
そのため、長期的に保有しつづける場合は「ETF」、中長期で保有する場合は「インデックスファンド」がお得になる状況が多くなっています。
利便性の比較
以上のように、コスト面では長期投資の場合、ETFにお得感があります。ただし、利便性に関しては、インデックスファンドの方がETFよりも優れていると言えます。
下表は、各商品の利便性を比較したものです。購入方法や積立投資などの分かりやす・しやすさ等、利便性はインデックスファンドの方が優れています。ETFは、自分で積立を株数単位でやらなくてはいけないので、初心者の方は難しいと感じるかもしれません。
インデックスファンドとETFの利便性の比較:
項目 | インデックスファンド | ETF |
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買付 |
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分配金 | 自動再投資が可能 | 自動再投資ができないので自分で再投資が必要 |
もう少し詳しく解説すると、インデックスファンドは、金額ベースで購入が可能です。例えば、1万円とか15,000円など、キリが良く、管理のしやすい金額で購入できます。一方、ETFは株数単位での購入なので、自分の投資したい金額で何株購入することができるのか計算したり、調節したりしなくてはいけません。
参考 ただし、SMBC日興証券のキンカブというサービスを利用すると、金額ベースでETFの購入が行えます。詳しくは、以下をご参照ください。
https://money-laboratory-ryoma.net/smbc-nikko-campaign/#kinkabu
また、インデックスファンドは毎月500円から自動積立(毎月の投資日と金額、銘柄を選択)が行えますが、ETFはできません。毎回自分で株数を決めて、手動で購入しなくてはいけません。最低投資金額もETFの場合、数千円や数万円となっています。
分配金の再投資に関しても、インデックスファンドは自動で分配金の再投資をしてくれます(購入時に分配金再投資コースを選ぶ)。しかし、ETFは分配金の再投資は自分でしなくてはいけません。また、再投資の際に売買手数料がかかったり、分配金をキリよく再投資するのも難しくなっています。
このように、インデックスファンドとETFには、それぞれメリット・デメリットがありますので、皆様の運用手法に合わせて、商品をお選びください。基本的に、初心者の方は、インデックスファンドの方が便利で扱いやすいと思います。
参考 インデックスファンドとETFの比較・詳細は、以下をご参照ください。
https://money-laboratory-ryoma.net/indexfund-vs-etf/
米国株インデックスファンドの比較・一覧
いよいよ、米国株式市場への投資を目的とした投資商品を解説していきます。はじめに、インデックスファンドについて、比較・一覧、おすすめ商品、またお得な購入先を解説します。
ファンド一覧
米国株式への投資を目的としたインデックスファンドには、以下のものがあります。米国の代表的な株価指数であるNYダウやS&P500だけでなく、25年以上増配を続けている企業だけをピックアップしたS&P500配当貴族指数をベンチマークとするファンド等があります。
ファンド名 | 信託報酬(税抜) | ベンチマーク |
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SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド | 0.09264% | S&P500 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.16% | S&P500 |
楽天・全米株式インデックス・ ファンド | 0.17% | CRSP USトータル・マーケット・インデックス |
iFree S&P500インデックス | 0.225% | S&P500 |
iFree NYダウインデックス | 0.225% | NYダウ |
たわらノーロードNYダウ | 0.225% | NYダウ |
米国株式インデックス・ファンド | 0.45% | S&P500 |
SMTダウジョーンズ・インデックス・オープン | 0.50% | NYダウ |
SMT米国株配当貴族インデックス・オープン | 0.55% | S&P500配当貴族指数 |
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 | 0.50% | S&P500配当貴族指数 |
i-mizuho米国株式インデックス | 0.57% | S&P500 |
eMAXIS NYダウインデックス | 0.60% | NYダウ |
注目ファンドは?
注目ファンドは、なんといっても信託報酬が年率0.19%と飛び抜けて安い楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)です。投資コストは、我々投資家への確実なマイナスリターンとなり、投資パフォーマンスを悪化させます。そのため、本ファンドのように、コストの安いファンドを選ぶことが、パフォーマンス向上のために重要です。
また、楽天VTIのベンチマークとなっているCRSP USトータル・マーケット・インデックスは、構成銘柄数が3,000銘柄以上と、S&P500やNYダウなどの一般的な米国株指数よりも多く、分散性の観点からも優れいています。
ただし、S&P500やNYダウに連動するファンドが良い方は、iFree NYダウインデックスとiFree S&P500インデックスなどもあります。また、増配を長年続けている優良企業群へ分散投資したい場合、野村インデックスファンド・米国株式配当貴族やSMT米国株配当貴族インデックス・オープンを利用しても面白いかもしれません。
お得なオススメ購入先
インデックスファンドは、SBI証券や楽天証券、auカブコム証券マネックス証券、SMBC日興証券、フィデリティ証券などから購入可能です。
購入手数料は無料(ノーロード)なので、どの証券会社から購入しても変わりません。しかし、一部ネット証券で行われている「ポイント還元プログラム」に違いがあり、結論から言うと、SBI証券での購入・保有が最もおトクです。
ポイント還元プログラムとは、投資信託(ファンド)の保有額に応じてポイント還元されるサービスです。ポイントは、現金などに交換できるため、ポイント還元率の高いネット証券でファンドを購入することで、お得にファンドを保有することができます。
以下の表は、ネット証券のポイントプログラムの比較を行ったものです。結論から言うと、SBI証券の投信マイレージが還元率が良く利便性が高いと言えます。
証券会社 | 還元率 | 特徴 |
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SBI証券 | 年率0.1% (最大:年率0.24%) |
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SMBC日興証券 | キャンペーンでANAマイルやdポイント |
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楽天証券 | 残高10万円毎に月4ポイント (最大:年率0.048%) |
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マネックス証券 | 月平均保有額の年率0.08% (最大:年率0.08%) |
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auカブコム証券 | 月平均保有額100万円につき1ポイント (最大:年率0.24%) |
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SBI証券であれば、最大0.24%(年率)のポイント還元が受けられます。他ネット証券もポイント還元がありますが、還元率の高さや利便性を考えるとSBI証券がおトクです。例えば、1,000万円分保有している場合、年間(最大)24,000円のキャッシュバックがあります。
また、証券会社の選び方やSBI証券の評価・解説は、以下をご参照ください。
米国株ETFの比較・一覧
次に、米国株式ETFの比較・一覧や注目商品、またお得な購入先を解説していきます。
ETF一覧
米国株式市場への投資を目的としたETFには、以下のものがあります。米国の代表的な株価指数であるNYダウやS&P500や、大型株だけでなく中小型株まで含むCRSP USトータル・マーケット・インデックスをベンチマークとするETFがあります。
銘柄名(コード・ティッカー) | 信託報酬 (経費率) | ベンチマーク | 種類 |
---|---|---|---|
バンガード・S&P500ETF(VOO) | 0.03% | S&P500 | 米国ETF |
バンガード・トータル・ストック・ マーケットETF(VTI) | 0.03% | CRSP USトータル・ マーケット・インデックス | 米国ETF |
iシェアーズS&P500ETF(IVV) | 0.04% | S&P500 | 米国ETF |
SPDR S&P500 ETF(1557) | 0.095% | S&P500 | 国内ETF |
UBS ETF米国株(1393) | 0.14% | MSCI米国インデックス | 国内ETF |
Simple-X NYダウ・ジョーンズ・ インデックス上場投信(1679) | 0.15% | NYダウ | 国内ETF |
上場インデックスファンド米国株式 (1547) | 0.16% | S&P500 | 国内ETF |
人気ランキング
個人投資家に、人気・注目を集めている米国ETFを見ていきます。下表は、保有人数の多い米国ETFランキングです。保有人数が多いETFということで、中長期投資向きの超低コストETFが上位を占めています。
順位 | 銘柄名 | 特徴 |
---|---|---|
1位 | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT) | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスをベンチマークとする全世界の株式市場への投資を目的としたETF |
2位 | バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO) | FTSEエマージング・オールキャップ・インデックスをベンチマーク。新興国株式市場が投資対象 |
3位 | iシェアーズ米国優先株式ETF(PFF) | 優先株のパフォーマンスを測る指標がベンチマーク |
4位 | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI) | 米国株式市場が投資対象。ベンチマークはCRSP USトータル・マーケット・インデックス |
5位 | バンガード・S&P500ETF(VOO) | 米国株式市場が投資対象。ベンチマークはS&P500 |
6位 | バンガード米国高配当株式ETF(VYM) | 米国の高配当株に特化したETF |
7位 | iシェアーズS&P500ETF(IVV) | 米国株式市場が投資対象。ベンチマークはS&P500 |
8位 | iシェアーズMSCIエマージングETF(EEM) | 新興国株式市場が投資対象。ベンチマークはMSCIエマージング指数 |
9位 | iシェアーズMSCIコクサイETF(TOK) | 日本を除く先進国の株式市場が投資対象。MSCIコクサイがベンチマーク |
10位 | iシェアーズMSCI EAFE ETF(EFA) | ヨーロッパ、オーストラリアおよび東アジアの株式 |
*SBI証券のデータを参考(2017/5/19現在)
インデックス投資家の中で人気のバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)が1位に輝いています。信託報酬0.1%台と超低コストで、全世界(先進国・新興国含む)の株式へ投資できるということで、低コスト分散投資の鉄板銘柄とも言えます。
VTの他には、新興国株式市場や米国株式市場へ投資するETFが上位となっています。ETFのブランドとしては、経費率が非常に安いバンガードETFが人気のようです。
本ETFの他、米国の人気ETFは、以下をご参照ください。
https://money-laboratory-ryoma.net/us-stock-ranking-haito/#etf
注目ETFは?
注目は、経費率(信託報酬)0.04%のiシェアーズS&P500ETF(IVV)とバンガード・S&P500ETF(VOO)、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)の3本です。手数料が他ETFと比べて、圧倒的に安くなっています。
VOOとVTIの違いは、構成銘柄数とその比率です。VOOは、S&P500に含まれる米国主要500社だけが投資対象です。一方、VTIは、S&P500の採用銘柄に加えて、米国市場に上場する中小型株式も含まれています。そのため、VTIの方がカバー範囲が広くなっています。
ちなみ、両者の過去10年のパフォーマンスは、ほとんど変わりません(下表参照)。個人的には、構成銘柄数が多く分散性もあり、中小型株の成長も取り込めるVTIが好みです。
VTIとVOOのパフォーマンス比較
VTIとVOOのパフォーマンス比較
参照:yahoo finance
以下、米国ETFを紹介しましたが、国内のETFの方が良いという方は、SPDR S&P500 ETF(1557)が良いでしょう。国内株式同様に売買ができるうえ、auカブコム証券であれば、売買手数料無料(フリーETF)で取引できます。
お得なオススメ購入先
以上、紹介したETFは、国内ETFか米国ETFかによって、お得な購入先が違うので、国内ETFと米国ETFにわけて解説を行って行きます。
国内ETF
国内ETF「SPDR S&P500ETF(1557)」のおすすめ購入先は、auカブコム証券です。SBI証券、マネックス証券、楽天証券などのネット証券でも売買可能ですが、売買手数料無料となるのはauカブコム証券のみです。売買手数料が無料なので、小口で積立も可能です。
米国ETF
バンガードETFなどの米国ETFは、手数料の安いネット証券で取引を行うのが良いでしょう。ネット証券では、SBI証券・楽天証券・マネックス証券の3社で米国ETFの取引が行えます。3社で最も手数料が安いのがSBI証券です。
米国ETFを取引する場合、ETFの売買時に係る手数料「売買手数料」、また日本円を米ドルに両替するための「為替手数料」の2種類の手数料(コスト)がかかります。米国ETFは米ドルで売買しなくてはいけないので、売買手数料の他に為替手数料がかかります。
米国ETFの取引にかかる手数料:
- 売買手数料:米国ETFを売買する際にかかる手数料
- 為替手数料:日本円を米ドルに両替する手数料
以下の表は、米国ETFの取り扱いを行っているネット証券の売買手数料・為替手数料を比較したものです。売買手数料は、SBI証券とマネックス証券が同水準の安さですが、為替手数料はSBI証券の方が安いことがわかります。そのため、取引にかかるトータルコスト(売買手数料+為替手数料)は、SBI証券が最も安くなります。
証券会社 | 売買手数料 | 為替手数料 (1ドル両替あたり) |
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DMM.com証券 | 無料(0円) | 0.25円 |
SBI証券 | 約定額の0.45% ・最低0ドル ・最大20ドル |
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マネックス証券 | ||
楽天証券 |
為替手数料が安くなる住信SBIネット銀行は、SBI証券の口座開設時に、カンタンに同時口座開設ができます。サービスも連携していて使いやすくなっています。また、SBI証券のNISA口座であれば、買付手数料が無料になる点も大きなメリットです。
また、住信SBIネット銀行の同時口座開設の方法などは、以下もご参照ください。
NISAなら積立でも買付手数料無料
海外ETFは、手数料がインデックスファンドや国内ETFと比べて割高であるため、小額積立はもったいないと思うかもしれません。実際、私もそう考えていました。しかし、NISA口座を利用すれば手数料無料で買付・積立ができるようになりました。
SBI証券・楽天証券・マネックス証券のどのNISA口座でも海外ETFの買付手数料が無料になります。そのため、小額積立を行いたい方は、これらのネット証券を選ぶと良いでしょう。
私自身は、元々の手数料が安く済むSBI証券を利用しています。NISA枠(年間120万円の上限)をはみ出たとしても割安な手数料でバンガードなどの米国ETFが購入できます。
参考 SBI証券の詳細確認・無料口座開設は、以下の公式ページから行えます。今なら口座開設キャンペーンで、最大10万円がもらえます(10月31日まで)。
また、SBI証券の詳細やNISA口座の特徴は、以下をご参照ください。
SBI証券は、海外ETFだけでなく、投資信託や米国株の品揃えが良く、コストも業界最安水準です。また、投信マイレージやIPOチャレンジポイント、PTSなど、様々な独自のメリットがあります。口座開設費・維持費は無料ですので、口座を持っていない方は、この機会に口座を開設してみると良いかもしれません。
SBI証券の特徴 | |
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SBI証券 |
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参考 SBI証券の詳細確認・無料口座開設は、以下の公式ページから行えます。今なら口座開設キャンペーンで、最大10万円がもらえます(10月31日まで)。
また、本ブログでのSBI証券の評価・解説は、以下をご参照ください。